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理学療法士 新人セラピストの悩み

身体の専門家である理学療法士のブログ!健康に悩んでいる方、新人理学療法士、学生にも読んで頂ける内容。臨床に活かせる知識を記載します

筋力はどの程度あれば歩けるのか ~自立の基準値を知ろう①~

今回の記事では日常生活の自立に大きく影響を与えると考えられている、

筋力、関節可動域、バランス能力、全身持久力、歩行量、歩行スピードについての

基準値を紹介します。結局書いてみたら、筋力と歩行自立度の関係まででした!!

 

①筋力の基準値

・健常者の等尺性膝伸展筋力(kgf)の平均値を記載します。

20代男性:60.4±8.1 女性:37.1±8.9   30代男性:56.1±12.7 女性:33.4±6.8

40代男性:49.4±10.0  女性:33.3±5.7   50代男性:50.8±8.7   女性:30.2±5.6

60代男性:40.0±8.5 女性:26.2±5.6   70代男性:31.3±6.0   女性:23.2±6.1

80代男性:24.7±4.7 女性:18.8±3.2

 

・健常者の等尺性膝伸展筋力体重比(kgf/kg)

20代男性:0.96±0.13 女性:0.74±0.14   30代男性:0.84±0.14 女性:0.65±0.12

40代男性:0.78±0.12 女性:0.63±0.12   50代男性:0.76±0.16 女性:0.59±0.12

60代男性:0.64±0.12 女性:0.50±0.10   70代男性:0.56±0.09  女性:0.46±0.10

80代男性:0.49±0.06 女性:0.39±0.05

 

・健常者の等尺性膝トルク体重比(N・m/kg)

20代男性:2.82±0.38 女性:2.18±0.41   30代男性:2.47±0.41 女性:1.91±0.35

40代男性:2.29±0.35 女性:1.85±0.35   50代男性:2.23±0.47 女性:1.73±0.35

60代男性:1.88±0.35 女性:1.47±0.29   70代男性:1.65±0.26 女性:1.35±0.29

80代男性:1.15±0.18 女性:1.15±0.15

 

 

 

上記のような値を確認していただくとわかるように、若い20代のような方と

病院に入院されている平均的な年齢の方々と比較すると、概ね半分くらいの

ということがわかると思います。

MMT5なければいけないことはありません。あくまでMMTは指標です。

こういった数値的観点で見れば、明らかです。

膝関節伸展筋力と歩行等の動作に関しては多くの相関が得られている文献が存在します。

そういったものを参考にしていただくとさらにイメージがとらえやすいと思います。

文献との関係性に関しては後述します。

 

そういはいっても高齢の方が若年者と比較してこれだけ筋力に差が出ていて問題はないのか?

疑問が出てくると思います。この後に記載する下肢筋力と動作の関係で述べていきます。

 

 

②下肢筋力と歩行自立度

上記で述べたような下肢筋力平均値を用いて脳血管、整形疾患のない高齢

脳血管障害による片麻痺者、大腿骨頚部骨折者、脳血管、整形疾患のない高齢

各々の下肢筋力と歩行自立度の関連を記載します。

 

・脳血管、整形疾患のない高齢者(65歳以上、173名)

等尺性伸展筋力体重比:0.40kgf/kg(1.18N・m/kg)を上回る全例で院内独歩可能。

逆に0.25kgf/kg(0.74N・m/kg)を下回る全例で不可能。

このことから院内独歩における必要な筋力下限は0.25kgf/kg(0.74N・m/kg)だといえます。

さらに言えば0.40kgf/kg(1.18N・m/kg)上回っていれば、高確率で可能となると予測を立てられます。

 

 

・慢性期脳血管片麻痺者(275名)

非麻痺側等尺性膝伸展筋力:0.55kgf/kg(1.62N・m/kg)を上回る全例では歩行動作は自立。

0.30kgf/kg(0.88N・m/kg)では全例で歩行は自立しなかったとの報告です。

 

違った研究ではBRS別での屋外自立群、屋内自立群の非麻痺側膝伸展ピークトルク体重比の最低値に関して記述されています。

BRS V,Ⅵ:0.72N・m/kg(0.24kgf/kg)

BRS Ⅲ,Ⅳ:1.00N・m/kg(0.34kgf/kg)

 

こうして比較するとわかりますが、疾患を有さない方と比べても片麻痺者では非麻痺側筋力がより必要となることが確認できます。

脳血管の訓練ではどうしても麻痺側に関して注目されがちですが、非麻痺側下肢筋力にも注目は必要です。

急性期においてはリスク管理の観点からbed上対応になってしまう方もいらっしゃると思いますが、

最低限非麻痺側下肢に関しても廃用予防等に注意していただく必要があります。

今までなんとなくで実施していた廃用予防等をこういった数値を含めて重要であることを再確認していただけるといいですね。

 

 

・転倒による大腿骨頚部骨折者(63名)

こちらは院内杖歩行自立にて研究されています。

健側膝伸展ピークトルク体重比:下限値0.78N・m/kg(0.27kgf/kg)

緩速膝伸展ピークトルク体重比:下限値0.56N・m/kg(0.19kgf/kg)

下限値での結果となるので必ずと言い難い結果ですが、判断するための参考数値として

良いものかなと考えています。

 

 

今回の記事では健常者の平均的な筋力数値と脳血管、整形疾患を有する方との比較してみました。

このように数値で見てみると様々な気づきがありますね。

超急性期病院等では臨床中の測定は困難かもしれませんが、実習中の学生さんや

HHD等を用いることができれば臨床中であっても短時間で測定可能かもしれません。

 

次回記事は下肢筋力関連を続きます。下肢筋力と歩行速度に関して記載いたします!